学生時代の先輩から久しぶりに電話があった。緊急事 態発生だという。 聞くと、X Window Systemが起動しなくなったのだとい う。Window Makerの途中まで起動するが、そこからな にも進まない、いったいどうすればいいのだ、という。 先輩は、学生のころ、自分がインストールしたFreeBSD をまだ使い続けているそうだ。 話をきくと、毎日帰ってきてからXKOBOをやることが、 半ば日課になっているそうだ。XKOBOはシューティング ゲームで、シンプルでかつテクニックが必要になる、 テトリスクラスの面白さがある。 このゲームは23面を越えるあたりから、人間では処理 仕切れないくらいプレイが困難になる。動体視力と反 射神経を極限まで高めないと、100面というのは不可能 だ。100面までプレイするというのは、神業といってい い。想像するだけで目がまわる。 先輩は自宅にネット環境もなく、もくもくとXKOBOを こなしてきたのだという。 きくと、先輩はいった。もしいま宇宙人が攻めてきて 人間が征服されようとしているとき、XKOBOで勝負して 勝ったら許してやるということになったら、間違いな く俺が地球代表に選ばれて戦うことになると、そう思っ て頑張っとるんよ。 このほろほろと胸暖まる感動はどうだろう。自分は一生 かかってもこの人のような面白い人生は送れないのだろ うと半ば悔しくなる反面、その人生の一瞬でも共にいれ たことにひどく感動をおぼえた。 症状を聞き、対処法を指示し、システムは復旧した。 今でもXKOBOをプレイしている先輩のことを思っては、 ほうと胸暖まる。 なぜネットにつながないんですか、と聞くと、寮なの でせいぜいモデムで低速通信しかできないからやらない という。そんなネットにつなげて人とつながろうとする なんて恥ずかしいんじゃ、という。 クスリと笑う。一番人とつながりたがるのはこの先輩な んだが、そのあたりわかっていてこういうあたりはさす だ。こういったところの頭の回転の早さとそれに相反す る思慮深さは、到底自分ではかなわないとかんじる。 また酒呑みたいっすね。